ごあいさつ

卒後臨床研修センター副センター長 八尋 英二

卒後臨床研修センター副センター長 循環器内科 准教授
専門領域:心不全、高血圧、心血管病予防
八尋 英二

「医療提供体制の変化に柔軟に対応できる臨床研修医の育成」

平成16年より必修化された新医師臨床研修制度は15年が経過し、令和2年度から施行された臨床研修制度においてはこれまでにない大規模な改訂が図られています。臨床研修の到達目標、方略(研修内容)、評価の各側面における主な改正点を下記にお示しします。

臨床研修の到達目標は「A.医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)」「B.資質・能力」「C.基本的診療業務」の3つの領域に整理され、研修医は医師としての基本的価値観を自らのものとし、基本的診療業務ができる レベルの資質・能力を修得することが求められています。

到達目標を達成するための具体的な方略(研修内容)は、従来の「内科」「救急部門」「地域医療」の研修に加えて「外科」「小児科」「産婦人科」「精神科」の計7科目が必修となり、2年間の臨床研修で経験すべき症候・疾病・病態も増えて計55項目となりました。さらに、一般外来と在宅医療の研修(当院のプログラムでは2年次の地域医療研修の中で実施)が追加されました。

臨床研修の到達目標や方略の達成度評価は、全国統一の評価指標として新たに導入された研修医評価票に基づいて、臨床研修指導医だけでなく医師以外の医療職(メディカルスタッフ)も加わり多角的視点から評価を行うことになりました。

この制度改正にあわせて、当院の臨床研修プログラムもリニューアルを図り、令和2年4月よりブラッシュアップされた当院オリジナルの臨床研修プログラムがスタートしています。詳しくは臨床研修プログラムの紹介ページに掲載していますので後ほどゆっくりご覧ください。一番の大きな特徴としては、1年次は必修科目を徹底的に研修して基礎固めを図り、その上で2年次は一人ひとりの意思や進路に応じて研修先病院や研修科を自由に選択して研修スケジュールを組むことができる点です。1年次の研修をどのような姿勢で臨むかで2年次の研修ビジョンが定まり、そのビジョンをしっかり歩んでいくことが研修修了後のあなたの思い描く医師像へと繋がっていきます。

臨床研修医のみなさんにとって、2年間の研修生活の中で学び修得する内容が増えたことは、医師としての最高の成長機会でありチャンスです。私たちは、この成長機会やチャンスが充実して実り多きものとなることを願っています。医療提供体制は今後大きく変わる可能性があり、また患者さんの社会背景はますます複雑化し多様な患者さんを診療することになる医療人として柔軟に対応しながら「あたたかい医療」を実践できるようにみなさんとともに歩んでいく決意です。